ホーム/ブログ/身元保証/成年後見制度の大改正(2026年6月成立)で何が変わる?終身制廃止・補助への一元化と身元保証の役割【2028年施行予定】
    成年後見制度の大改正(2026年6月成立)で何が変わる?終身制廃止・補助への一元化と身元保証の役割【2028年施行予定】

    成年後見制度の大改正(2026年6月成立)で何が変わる?終身制廃止・補助への一元化と身元保証の役割【2028年施行予定】

    2026年09月04日身元保証いきいきつながる会14分で読めます

    成年後見制度の大改正(2026年6月成立)で何が変わる?終身制廃止・補助への一元化と身元保証の役割【2028年施行予定】

    「成年後見は一度始めるとやめられない」「後見人の報酬が一生続く」「使い勝手が悪いと聞いて踏み切れない」――当会にもこうしたご相談が多く寄せられてきました。2000年に始まった成年後見制度は、認知症高齢者が増え続けるなかで利用者が約26万人(2025年12月時点)にとどまっており、「使いにくい制度」と評されてきました。

    その成年後見制度が、26年ぶりに大きく変わります。2026年6月17日、成年後見制度の見直しを盛り込んだ「民法等の一部を改正する法律」が成立しました。後見・保佐・補助の三類型を「補助」に一元化し、終身制を廃止して必要な期間だけ利用できる制度へと生まれ変わります。

    この記事では、今回の改正で何がどう変わるのか、いつから施行されるのか、今制度を利用中の方はどうなるのか、そして改正後も変わらない「身元保証との役割分担」を、大阪・関西で高齢者支援を行うNPO法人いきいきつながる会が整理して解説します。現行制度の基本は成年後見制度とは?法定後見・任意後見の違いと費用・手続きをご覧ください。

    結論|「終われる後見」になる。ただし施行は早くても数年先

    先に要点をまとめます。

    項目現行制度改正後
    類型後見・保佐・補助の3類型「補助」に一元化
    利用期間原則として本人が亡くなるまで(終身)必要がなくなれば終了できる
    利用開始の条件判断能力の程度に応じて家庭裁判所が審判判断能力が不十分・本人の同意・制度利用の必要性の3条件
    後見人の権限類型ごとに包括的に定まる必要な権限だけを付与し、後から変更・縮小も可能
    本人の意向尊重義務はあるが運用にばらつき意向を把握する義務を明文化
    施行時期公布(2026年6月24日)から2年6ヶ月以内。遅くとも2028年12月24日まで

    もっとも大きな変化は「一度始めたら一生続く」がなくなることです。ただし、施行日は2026年9月現在まだ政令で定められておらず、当面は現行のルールで手続きが進みます。「改正を待ってから動こう」と考えると、2年以上何もできないことになりかねません。この点は後半で詳しく解説します。

    なぜ今、成年後見制度が見直されるのか

    成年後見制度は、判断能力が不十分になった方の財産管理や契約を、家庭裁判所が選んだ後見人等が代わって行う仕組みです。制度の目的自体はしっかりしていますが、実際に利用したご家族からは次のような声が多く聞かれてきました。

    • 一度始めると、本人が回復しても、目的を果たしてもやめられない
    • 専門職後見人の報酬(月額2万〜6万円程度が目安)が一生続く
    • 「後見」になると、日常の買い物以外の法律行為のほぼすべてが後見人の権限になり、本人の自己決定が必要以上に制限される
    • 不動産の売却や相続手続きだけ済ませたいのに、その後も制度が続く

    こうした使い勝手の悪さから、制度を避けて「家族がいないから誰も手続きできない」という状態に陥る方も少なくありませんでした。高齢化と単身世帯の増加で制度のニーズは高まる一方で、制度がニーズに合っていない。このギャップを埋めるのが今回の改正です。法制審議会での検討、パブリックコメント(2025年)を経て、2026年4月に改正案が閣議決定され、同年6月に成立しました。

    改正の5つのポイント

    1. 後見・保佐・補助を「補助」に一元化

    現行制度では、判断能力の程度に応じて「後見(常に欠けている)」「保佐(著しく不十分)」「補助(不十分)」の3類型に分かれています。改正後はこの3類型を廃止し、もっとも本人の権限を残す「補助」に一本化します。

    利用を始めるには、①精神上の障がいにより判断能力が不十分であること、②本人の同意があること、③制度を利用する必要性があること、の3つが求められます。「判断能力が落ちたから自動的に後見」ではなく、「何のために必要か」を確認してから始める形になります。

    2. 終身制の廃止|必要がなくなれば終了できる

    家庭裁判所が「制度利用の必要がなくなった」と認めた場合、補助開始の審判を取り消して制度を終了できるようになります。たとえば、実家の売却という目的のために制度を使い、売却が済んだら終了する、といった使い方が想定されています。「終われる後見」と呼ばれるゆえんです。

    3. 権限を必要な分だけ付与し、後から変更できる

    同意権・代理権などを、本人の状況に応じて必要な範囲だけ付与し、後から変更・縮小することも可能になります。現行の「後見」のように包括的に権限が移るのではなく、本人ができることは本人が続ける、という考え方です。

    4. 本人の意向を把握する義務の明文化

    補助人には、本人の意向を把握し、それを尊重して事務を行う義務が明文で定められます。この義務と、補助人の解任事由については、施行日以降、既存の利用者にも改正後のルールが適用されるとされています。

    5. デジタル遺言制度の创設(同時改正)

    同じ改正法の中で、遺言制度の見直しも行われています。デジタル方式で遺言を残せる仕組みが新設される見通しで、身寄りのない方の終活にも影響する内容です。こちらは別の記事で詳しく扱います。

    いつから変わる?今利用中の人はどうなる?

    施行日は「公布から2年6ヶ月以内」

    改正法のうち成年後見に関する部分は、公布の日(2026年6月24日)から起算して2年6ヶ月を超えない範囲内で政令で定める日に施行されます。つまり遅くとも2028年12月24日までに施行されますが、2026年9月現在、具体的な施行日は公表されていません。家庭裁判所のシステム改修や現場の運用ルール整備に時間がかかるためです。

    現在の利用者は原則としてそのまま継続

    すでに「後見」「保佐」を利用中の方は、基本的に現行の内容のまま継続利用できるとされています。改正を理由に自動的に制度が終了したり、権限が変わったりすることはありません。ただし、前述のとおり本人の意向把握義務と解任事由は施行日以降に適用されます。

    「改正を待つか、今申し立てるか」の考え方

    ここがもっともご相談の多い点です。当会の考え方を整理します。

    状況考え方
    すでに判断能力が低下し、財産管理や契約で困っている改正を待たず、今の制度で申し立てる。困りごとは待ってくれない
    今は元気だが、将来に備えたい任意後見契約・家族信託・身元保証の組み合わせを検討。法定後見は「必要になったとき」の選択肢
    特定の手続き(不動産売却・遺産分割)のためだけに後見が必要急ぎでなければ、「終われる後見」になる改正後の選択肢も視野に。ただし施行日未定のため、専門家と相談のうえで判断

    判断能力がすでに低下している場合、任意後見契約や家族信託は結べません。「改正を待つ」という選択は、備えを先延ばしにする理由にはならないということをお伝えしています。

    改正後も変わらないこと|成年後見と身元保証の役割分担

    今回の改正で成年後見制度は使いやすくなりますが、後見人・補助人ができないことは改正後も変わりません。ここを誤解されている方が非常に多いので、整理しておきます。

    場面成年後見(改正後の補助も同様)身元保証サービス
    財産管理・契約の代理◎ 本来の役割× できない
    入院・施設入所時の身元保証人× 後見人は保証人にならないのが原則◎ 本来の役割
    緊急時の連絡先・駆けつけ△ 専門職後見人は即応が難しい◎ 対応可(契約内容による)
    医療行為への同意× 後見人の権限外× 法的権限はない(本人意思の確認・伝達は可)
    日常の見守り・生活支援× 事務の対象外◎ 対応可
    死後の葬儀・遺品整理△ 限定的(死後事務は原則対象外)◎ 死後事務委任と組み合わせて対応可

    成年後見は「お金と契約」を守る制度、身元保証は「暮らしと万が一」を支えるサービスです。役割が違うので、どちらか一方では足りない場面が出てきます。とくに身寄りのない方は、任意後見契約(将来の財産管理)と身元保証(入院・施設・緊急時)と死後事務委任(亡くなった後)を3つ組み合わせるのが現実的です。身元保証の仕組みと費用は身元保証人代行サービスとは?費用相場・対応範囲・選び方、家族信託との比較は家族信託と成年後見制度の違いで解説しています。

    なお、2026年6月には改正社会福祉法も成立し、身寄りのない高齢者への公的支援が広がる見通しです。成年後見・身元保証・公的支援の三つの関係は、改正社会福祉法で身寄りのない高齢者の支援はどう変わる?もあわせてご覧ください。

    いきいきつながる会の支援内容

    NPO法人いきいきつながる会は、大阪を拠点に関西全域(和歌山除く)で、身元保証・見守り・終活・死後事務を一貫して支援しています。成年後見制度そのものの申し立ては家庭裁判所への手続きですが、当会では次のような形で関わっています。

    • 「成年後見が必要なのか、身元保証で足りるのか」という入口の整理
    • 後見人がいても埋まらない、入院・施設・緊急時の身元保証
    • 任意後見契約・死後事務委任契約の組み合わせ設計
    • 弁護士・司法書士との連携が必要な場合のご案内

    制度の選択は、ご本人の状態・ご家族の有無・財産の内容によって大きく変わります。電話・メールでの無料相談を受け付けていますので、「自分の場合はどうなのか」から一緒に整理しましょう。

    よくある質問

    Q. 改正後は、後見人の報酬は安くなりますか?

    報酬の額そのものを定める改正ではありません。ただし、必要がなくなれば終了できるため、「一生報酬を払い続ける」状態は避けやすくなります。現行制度の費用の目安は成年後見人の費用シミュレーションで解説しています。

    Q. 今「後見」を利用中です。改正後にやめられますか?

    既存の利用者は原則として現行の内容のまま継続とされています。改正後の終了ルールが既存利用者にどう適用されるかは、今後の政令・運用で具体化される見通しです。最新の情報は法務省の発表をご確認ください。

    Q. 任意後見契約は改正の影響を受けますか?

    任意後見は「元気なうちに自分で後見人を選んでおく」制度で、今回の改正の中心は法定後見側です。自分の意思で備えたい方にとって、任意後見の有用性は改正後も変わりません。

    Q. 身元保証サービスだけで、成年後見の代わりになりますか?

    なりません。身元保証サービスには財産管理や契約の代理を行う法的権限がありません。逆に、成年後見人は入院や施設の身元保証人にはならないのが原則です。役割が異なるため、必要に応じて組み合わせます。

    Q. 改正の詳細はどこで確認できますか?

    法務省民事局が公表している「民法等の一部を改正する法律」(2026年6月)の資料が一次情報です。施行日を定める政令や、既存利用者への経過措置の詳細は今後公表される見通しのため、制度利用の判断前には最新の発表をご確認ください。

    まとめ

    2026年6月成立の改正民法により、成年後見制度は次の3点で大きく変わります。

    1. 後見・保佐・補助の3類型が「補助」に一元化され、必要な権限だけを付与する形になる
    2. 終身制が廃止され、必要がなくなれば終了できる「終われる後見」になる
    3. 施行は遅くとも2028年12月まで。それまでは現行制度で手続きが進む

    一方で、後見人が入院や施設の身元保証人にならないこと、日常の見守りや死後事務は制度の対象外であることは、改正後も変わりません。制度が使いやすくなるからこそ、「後見でできること」と「身元保証で支えること」を分けて考えることが大切になります。

    「自分の場合は何を組み合わせればいいのか」に迷ったら、いきいきつながる会の無料相談をご利用ください。大阪・関西で、制度の選択から実際の支援まで一貫して伴走します。

    無料相談予約