
成年後見人の費用シミュレーション|申立費用・月額報酬・実費を関西事例で完全解説
成年後見人の費用シミュレーション|申立費用・月額報酬・実費を関西事例で完全解説
「成年後見制度を使いたいけれど、結局いくらかかるのかわからない」――そんな声を関西エリアのご家族から多くいただきます。認知症の親御さんを支えるために制度の利用を検討しても、申立て時の費用、毎月の後見人報酬、付加報酬の有無まで合算した「総額」のイメージが持ちにくいのが実情です。
最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況―令和6年1月~12月」によると、成年後見制度の利用件数は近年も増え続けており、関西の家庭裁判所でも申立て件数が増加傾向にあります。一方で、費用面の不透明さから利用をためらう方も少なくありません。
この記事では、2025年現在の家庭裁判所の運用を踏まえ、大阪・神戸・京都・奈良・和歌山にお住まいの方が成年後見制度を利用したときの費用を、申立時・月額報酬・付加報酬の3区分でシミュレーションして解説します。
成年後見制度の全体像と費用が発生するタイミング
成年後見制度は、認知症や知的障がい・精神障がいなどで判断能力が不十分な方の財産管理や身上監護を、家庭裁判所が選任した後見人が代わりに行う制度です。大きく「法定後見」と「任意後見」の2種類に分かれます。
法定後見は、本人の判断能力が低下してから家族や本人が家庭裁判所に申立てを行い、家裁が後見人を選任する仕組みです。一方、任意後見は本人が元気なうちに「将来の後見人」を自分で選んで契約しておく仕組みで、判断能力が低下したときに任意後見監督人選任の申立てによって効力が発生します。
費用が発生するタイミングは大きく3つあります。1つ目は申立時、2つ目は後見人が選任されてからの月額報酬、3つ目は特別な業務が発生したときの付加報酬です。家族や親族が後見人になる場合は報酬を請求しない選択もできますが、専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士など)が選任されると、毎月の報酬支払いは原則として継続します。
申立時にかかる費用の内訳
家庭裁判所への申立てには、以下の費用が必要です。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 申立手数料(収入印紙) | 800円 | 後見開始の場合 |
| 後見登記手数料(収入印紙) | 2,600円 | 必須 |
| 郵便切手代 | 3,200円〜5,000円程度 | 家裁により異なる |
| 登記されていないことの証明書 | 300円 | 必須 |
| 医師の診断書 | 3,000円〜10,000円 | 医療機関により幅あり |
| 鑑定費用(必要時のみ) | 5万円〜20万円 | 家裁が必要と判断した場合 |
| 専門家への申立支援報酬 | 10万円〜25万円 | 司法書士・弁護士に依頼する場合 |
鑑定費用以外の手数料合計は、ご自身で申立てをすれば1万円弱で済むのが一般的です。ただし、申立書類の作成が複雑な場合や親族間で意見が分かれている場合は、司法書士や弁護士に依頼するケースが多く、その場合は10万〜25万円程度が追加されます。
東京家庭裁判所では、後見人選任の審判確定後に「本人負担とする裁判」が運用されており、申立人は本人の財産から手続費用の償還を求めることができます。大阪・神戸・京都・奈良・和歌山の各家庭裁判所も同様の運用が一般的とされていますが、家裁により扱いが異なる場合があるため、申立て前に該当の家裁に確認することをおすすめします。
月額報酬の目安と総額シミュレーション
成年後見人の月額報酬は、家庭裁判所が後見人および被後見人の事情を考慮して決定します(民法862条)。最高裁判所が示す基本報酬の目安は次のとおりです。
| 管理財産額 | 月額の基本報酬目安 | 年額換算 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 月額2万円程度 | 24万円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 月額3〜4万円程度 | 36〜48万円 |
| 5,000万円超 | 月額5〜6万円程度 | 60〜72万円 |
報酬の支払いは原則として年1回の後払いです。1年間の業務報告を家裁が受けて、家裁が報酬額を決定し、その金額を被後見人の財産から後見人に支払う仕組みになっています。
具体的にシミュレーションすると、預貯金1,500万円の親御さんに専門職後見人がついた場合、月額報酬は3〜4万円が目安となります。後見人は本人が亡くなるまで原則として任務が続くため、たとえば10年間の支援が続けば、報酬総額は約360〜480万円にのぼる計算です。
このため、関西エリアでも「制度を利用したいが、長期で見ると財産が大きく目減りする」という相談が増えています。費用を抑えたい場合は、家族・親族が後見人を引き受けて報酬付与の申立てを行わない、または付加報酬の発生しないシンプルな財産構成にしておく、といった工夫も考えられます。
付加報酬が発生する業務と関西の家裁ガイド
基本報酬以外に、後見人が特別な業務を行った場合は付加報酬が発生する可能性があります。代表例は次のとおりです。
- 被後見人の代理人として遺産分割調停を申立てた場合:取得した財産額に応じて加算
- 被後見人の代理人として裁判を行い、財産を増額させた場合:増額分に応じて加算
- 被後見人の不動産売却を行った場合:売却金額に応じて加算
- 訴訟代理人としての活動を行った場合:別途算定
付加報酬は、後見人から「報酬付与申立書」と「付加報酬を求める場合の資料」を家裁に提出し、家裁の審判で金額が決定されます。資料には、後見人が苦労した点、財産確保のために行った具体的な業務内容を記載します。
関西の家庭裁判所はそれぞれ独自の「成年後見人等の報酬額のめやす」を公表しています。大阪家庭裁判所、神戸家庭裁判所、京都家庭裁判所、奈良家庭裁判所、和歌山家庭裁判所のそれぞれで、目安額や運用に若干の違いがあります。申立て前に該当の家裁の最新ガイドを確認するか、お住まいの地域の弁護士・司法書士・NPO法人に相談すると、見通しを立てやすくなります。
費用が払えないときの3つの選択肢
成年後見制度の費用が経済的に負担になる場合、以下の支援制度が利用できる可能性があります。2025年現在の運用です。
- 成年後見制度利用支援事業:市区町村が、生活保護受給者や低所得者の申立費用・後見人報酬を助成する制度。大阪市・神戸市・京都市・奈良市・和歌山市など、関西の主要自治体で実施されています。
- 法テラス(日本司法支援センター)の立替払制度:弁護士・司法書士費用を一時的に立て替える制度。収入要件あり。
- 家族・親族が後見人を引き受ける:報酬付与の申立てを行わなければ、報酬を発生させずに後見業務を続けることができます。
ただし、家族が後見人になる場合でも、家裁の事務報告(年1回)や財産管理の責任は専門職と同じです。日々の負担を考えて、事前に「家族で対応するか、専門職に依頼するか」をじっくり検討することが大切です。
いきいきつながる会の成年後見・任意後見サポート
NPO法人いきいきつながる会では、関西エリアで成年後見・任意後見に関する無料相談を承っています。
当会の特徴は、成年後見制度の利用相談だけにとどまらず、見守り・身元保証・終活・死後事務まで一貫してサポートできることです。たとえば「親が認知症になりそうで成年後見を考えているが、入院時の身元保証もどうすれば良いかわからない」といった複合的なご相談に、一つの窓口でお応えできます。
NPO法人として、営利目的ではなく地域の高齢者支援を続けてきました。詳しくは「親が認知症になったらどうする?成年後見制度と身元保証サービスで備える方法」もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 成年後見人の報酬はいつまで払い続けるのですか
原則として、被後見人(本人)が亡くなるまで、または家裁が後見人を解任するまで継続します。年1回の後払いで、家裁が決定した金額を被後見人の財産から支払います。長期化することを前提に資金計画を立てることが大切です。
Q. 家族が後見人になれば費用は発生しませんか
家族が後見人になり、報酬付与の申立てを行わなければ、後見人への報酬は発生しません。ただし申立時の収入印紙・登記費用・郵便切手代などの実費は発生します。また、年1回の家裁への事務報告などの業務は、家族の方も同じく行う必要があります。
Q. 法定後見と任意後見はどちらが安いですか
申立時の費用は法定後見も任意後見もほぼ同水準ですが、任意後見では報酬を「無報酬」と契約に定めることもできるため、費用を抑えやすい仕組みです。任意後見監督人の報酬は別途家裁が決定するため、必ず月1万円程度は継続する点に注意が必要です。
Q. 鑑定費用は必ず必要ですか
鑑定費用が発生するのは、家裁が「本人の判断能力について追加で鑑定が必要」と判断した場合のみです。多くのケースでは医師の診断書のみで済み、鑑定費用は発生しません。万が一発生した場合は、5万〜20万円程度を見込んでおきましょう。
Q. 大阪市民が後見申立をするときの管轄家裁はどこですか
本人の住民票所在地を管轄する家庭裁判所が申立先です。大阪市内にお住まいの場合は大阪家庭裁判所、神戸市にお住まいの場合は神戸家庭裁判所、京都市は京都家庭裁判所が原則となります。詳細は「親の認知症に備える家族の実践ガイド」も参考になります。
Q. 費用を抑える工夫はありますか
申立てをご家族で行い、専門家への依頼費用を抑える、家族が後見人を引き受けて報酬を発生させない、自治体の利用支援事業の対象になるかを確認する、の3つが代表的な工夫です。まずは家裁の窓口や地域の専門職、NPO法人に相談してみることをおすすめします。
まとめ|成年後見の費用は「初期+継続+特別」の3層で見る
成年後見制度の費用は、次の3層で整理しておくと予算を立てやすくなります。
- 初期費用層:申立時の手数料・診断書・専門家報酬(合計1万〜25万円)
- 継続費用層:月額の基本報酬(管理財産額により月2〜6万円)
- 特別費用層:付加報酬(遺産分割・不動産売却・訴訟などで加算)
長期にわたって発生する費用のため、ご家族で「誰が後見人を引き受けるか」「専門職に依頼するか」「自治体助成を使えるか」を早めに話し合っておくことが、後悔のない選択につながります。
「成年後見制度の費用が見えなくて踏み出せない」「関西の家裁での運用について相談したい」という方は、お気軽に無料相談をご利用ください。いきいきつながる会では、関西エリアで多くのご家族の制度利用をサポートしてまいりました。