
墓じまいの手順と費用|5ステップの進め方・改葬許可・離檀料・関西の還付制度【2026年版】
墓じまいとは?「お墓を閉じる」のではなく「供養の形を変える」こと
墓じまいとは、現在のお墓を撤去して更地に戻し、遺骨を新しい供養先(永代供養墓・納骨堂・樹木葬・散骨など)に移すことを指します。「お墓をなくす」というネガティブなイメージがありますが、実際には「無理のない形で供養を続ける」「次世代に負担を残さない」という前向きな選択です。
厚生労働省「衛生行政報告例」によると、改葬(既存の墓地から別の場所への遺骨移動)件数は年間15万件前後で推移しており、近年は高止まり傾向にあります。墓じまいは特殊な選択ではなく、現代の家族構成と暮らし方に合った合理的な選択肢になっています。
墓じまいを選ぶ主な理由は次のとおりです。
- 子どもが遠方に住んでおり、頻繁にお参りできない
- 管理料・維持費が負担になっている
- 子どもや親族に負担を残したくない
- 墓石が老朽化し、修繕に大きな費用がかかる
- 後継ぎがいない、または独身で次世代が不在
この記事では、墓じまいの手続きの進め方と、墓じまいそのものにかかる費用を整理します。遺骨を移した先の供養にいくらかかるか(合祀・納骨堂・樹木葬などの種類別費用)は永代供養の種類と費用相場をまとめた記事を、高野山奥の院での永代供養については高野山奥の院での永代供養を解説した記事をご覧ください。
墓じまいの進め方|5つのステップ
墓じまいは、順序を間違えると手続きが途中で止まってしまいます。次の流れで進めるのが基本です。
| ステップ | 内容 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| ①親族との合意形成 | 墓守・遠方の親族・継承予定者に相談 | 後から「聞いていない」となりやすい |
| ②新しい供養先の決定 | 受入証明書を発行してもらう | ここが先。決まらないと③に進めない |
| ③改葬許可の申請 | お墓がある市区町村へ提出 | 申請先は「移す先」ではなく「今ある場所」 |
| ④閉眼供養と墓石の撤去 | 魂抜きの法要 → 石材店が撤去・整地 | 指定石材店の有無を先に確認 |
| ⑤新しい場所での納骨 | 改葬許可証を提出して納骨 | 開眼供養・納骨式の日程調整 |
ステップ1:親族との合意形成
墓じまいは家族全員にとって大切な決断です。「知らないうちに片付けられた」と後でトラブルにならないよう、墓守を担っている人・遠方に住む親族・将来の継承予定者にも事前に相談し、合意を得ておきましょう。
ステップ2:新しい供養先の決定
改葬許可申請には新しい納骨先の「受入証明書」が必要なため、最初に決めるのが鉄則です。選択肢は次のとおりです。
- 永代供養墓(合同墓・個別墓)
- 納骨堂(屋内型・自動搬送式)
- 樹木葬
- 散骨(海洋散骨・山林散骨)
- 手元供養(自宅保管)
それぞれの費用と向き不向きは永代供養の種類と費用相場をまとめた記事で比較しています。
ステップ3:改葬許可の申請
現在のお墓がある市区町村役場で「改葬許可申請書」を入手し、必要書類を揃えて提出します。許可証が発行されれば次のステップに進めます。
必要になる書類は自治体によって多少異なりますが、一般的には次の3点です。
| 書類 | 入手先 | 補足 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 現在の墓地がある市区町村役場 | 窓口またはウェブサイトで入手 |
| 埋葬証明書(納骨証明書) | 現在の墓地の管理者(寺院・霊園・自治体) | 遺骨が納められている事実の証明 |
| 受入証明書(使用許可証) | 新しい納骨先 | 契約時に発行してもらう |
申請先は「遺骨を移す先」ではなく「今お墓がある場所」の市区町村です。遺骨1体ごとに申請が必要な自治体もあるため、何体分の許可が必要かを最初に確認しておくと二度手間になりません。
ステップ4:閉眼供養と墓石の撤去
寺院墓地の場合は閉眼供養(魂抜き)の法要を行います。その後、石材店が墓石を撤去し、更地に戻します。遺骨は石材店または専門業者が取り出します。霊園によっては施工できる石材店が指定されていることがあるため、見積もりを取る前に管理者へ確認してください。
ステップ5:新しい場所での納骨
新しい納骨先で開眼供養や納骨式を行い、改葬許可証を提出します。これで墓じまいは完了です。
墓じまいの費用相場|撤去・供養・手続きで30万〜100万円
墓じまいの費用は、お墓の規模・立地・石材店・寺院との関係によって変わります。墓じまいそのもの(墓石の撤去から改葬手続きまで)にかかる費用は、おおむね30万〜100万円が目安です。遺骨を移した先の供養費用は、これとは別に必要になります。
費用の内訳一覧
| 項目 | 内容 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 墓石の撤去・運搬 | 石材店による撤去作業、更地への整地 | 1㎡あたり10〜15万円(合計10〜50万円) |
| 閉眼供養(魂抜き) | 僧侶による法要 | 3〜10万円 |
| 改葬許可申請 | 市区町村役場での手続き | 0〜数千円 |
| 遺骨の取り出し・洗骨 | 専門業者による作業 | 1〜5万円 |
| 遺骨の移送・運搬 | 新しい納骨先への運搬 | 1〜5万円 |
| 離檀料(寺院墓地のみ) | お世話になった寺院へのお礼 | 3〜20万円(任意) |
合計すると、寺院墓地で離檀料が発生するケースを含めておおむね30万〜100万円に収まります。これに加えて、遺骨の移動先となる永代供養墓・納骨堂・樹木葬などの費用が別途かかります。金額の目安は永代供養の種類と費用相場をまとめた記事をご確認ください。
高額になりやすいケース
- お墓が山間部や階段の多い場所にあり、重機が入れず手作業が必要
- 墓石が大型・複数基ある
- 寺院墓地で離檀料が高額に提示される
- 墓地が遠方にあり、立ち会いのたびに交通費が発生する
逆に、公営墓地で離檀料がかからず、墓石も小規模であれば、総額を20万円台に抑えられることもあります。
大阪・関西の自治体還付制度|知らないと損する制度
意外と知られていませんが、関西の一部自治体では公営墓地の永代使用料の一部が返還される制度があります。
- 岸和田市:公営墓地を返還する際、使用期間に応じて永代使用料の一部を還付
- 泉大津市:使用期間が短い場合などに、支払った使用料の一部を還付
- 大阪市:返還条件は厳格だが、一定要件下で減額・還付の相談が可能
これらの制度は申請主義のため、自分から問い合わせなければ適用されません。墓じまいを検討し始めたら、まずお墓のある自治体の墓地管理担当部署に「返還時の還付制度はあるか」を確認することをおすすめします。民営墓地・寺院墓地には還付制度はないため、適用は公営墓地に限られます。制度の内容や条件は見直されることがあるため、最新の取り扱いは各自治体の窓口でご確認ください。
離檀料は払うべき?相場と交渉のコツ
寺院墓地で墓じまいをする際、寺院から「離檀料(りだんりょう)」を求められるケースがあります。離檀料はお世話になった寺院への感謝のお礼金で、法律上の支払い義務はありませんが、関係を円満に終える慣習として広く行われています。
離檀料の相場
- 一般的な相場:3〜20万円
- 通夜葬儀のお布施1〜2回分が目安と言われる
- 関西では5〜15万円程度の例が多い
トラブルを防ぐためのポイント
- 突然「100万円」など高額な離檀料を求められる事例も報告されている
- 離檀料に法律上の支払い義務はないため、金額に納得できないときは冷静に相談・交渉してよい
- 埋葬証明書の発行と引き換えに金銭を求められた場合は、応じる前にお墓のある自治体の墓地担当窓口へ相談する
- 最終的な金額は口頭で終わらせず、書面で確認しておくと後の行き違いを防げる
- 不安な場合は弁護士・行政書士・終活サポート窓口に相談
事前に住職と十分に話し合い、これまでの感謝を丁寧に伝えることで、多くの場合は適正な金額で円満に解決できます。
墓じまい後の供養先をどう選ぶか
墓じまいを検討する方の多くが、「お墓は閉じても、手を合わせる場所は残したい」と考えています。後継ぎがいない方や、子に負担を残したくない方には、永代供養が有力な選択肢になります。永代供養は、寺院や霊園が定められた期間にわたって管理・供養を行う仕組みで、後継者がいなくても任せられるのが特徴です。
合祀墓・納骨堂・樹木葬・個別永代供養墓それぞれの費用と、契約前に確認したい点は永代供養の種類と費用相場をまとめた記事にまとめています。
いきいきつながる会は、高野山奥の院に慰霊碑(供養塔)を有しており、墓じまい後の納骨先として選ばれています。詳しくは高野山奥の院での永代供養を解説した記事をご覧ください。
墓じまいで失敗しない3つのコツ
- 新しい納骨先を先に決める:受入証明書がないと改葬許可が下りないため、最優先で決定する
- 複数の石材店から相見積もりを取る:同じ作業でも業者によって金額に差が出ることがあります(霊園指定の石材店がある場合は事前に確認)
- 自治体・寺院・石材店の三者と早めに連携:手続きの流れと費用を可視化することでトラブルを防げます
よくある質問(FAQ)
Q. 墓じまいの費用は誰が負担するのが一般的ですか?
A. 法的な決まりはありませんが、慣習的にはお墓の祭祀承継者(喪主や長男など)が負担するケースが多いです。兄弟姉妹で按分する家庭も増えています。費用負担の話し合いは早い段階で行うのがトラブル回避のコツです。
Q. 墓じまい後、遺骨を自宅で保管してもよいですか?
A. 法律上は問題ありません(墓地、埋葬等に関する法律で禁じられているのは「墓地以外への埋葬」であり、自宅保管は対象外)。ただし最終的な納骨先は決めておくのが望ましく、手元供養と併用するケースが多いです。
Q. 離檀料を払わないことはできますか?
A. 法的には支払い義務はありませんが、寺院との関係を円満に保つため、感謝のお礼として一定額(3〜10万円程度)を包むのが一般的です。寺院から高額請求を受けた場合は弁護士・行政書士に相談してください。
Q. 改葬許可申請は本人以外でも申請できますか?
A. はい、祭祀承継者や代理人が申請できます。委任状が必要な自治体もあるため、事前に役所窓口で確認してください。
Q. 墓じまいにはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 親族の合意、納骨先の見学・契約、改葬許可の取得、撤去工事の日程調整を合わせると、最短でも3〜6ヶ月を見込んでおくと安心です。お盆・お彼岸の時期は工事が混み合うため、その前後は余裕を持って進めましょう。
Q. 永代供養と墓じまいは同時に進められますか?
A. はい、むしろ墓じまいと同時に永代供養先を決めるのが一般的な流れです。新しい納骨先(受入証明書の発行先)を先に決定してから、改葬許可申請に進みます。
まとめ|墓じまいは「順序」と「費用の切り分け」で決まる
墓じまいは、お墓をなくすためではなく、これからも安心して供養を続け、次世代に負担を残さないための前向きな選択です。押さえるべきポイントは次の3点です。
- 順序を守る:親族の合意 → 納骨先の決定 → 改葬許可 → 閉眼供養・撤去 → 納骨
- 費用を切り分けて考える:墓じまいそのもの(撤去・供養・手続き)で30万〜100万円、遺骨を移した先の供養費用は別枠
- 使える制度を確認する:公営墓地の還付制度は、自分から申請しなければ適用されない
いきいきつながる会では、墓じまいのご相談から、新しい供養先(高野山奥の院での永代供養)の手配、身元保証・死後事務までワンストップで支援しています。「お墓のことが気になり始めた」「何から手をつけてよいかわからない」という方は、お気軽に無料相談をご利用ください。