
障がい者の「親なき後」問題とは?家族が今からできる住まい・お金・見守りの備え
障がいのある子の「親なき後」問題とは?家族が今からできる住まい・お金・見守りの備え
「自分たちがいなくなった後、この子の生活はどうなるのか」「住まいや経済的な支えは誰が担ってくれるのか」——障がいのあるお子さまを育てているご家族にとって、最も大きな不安のひとつが「親なき後」の問題です。
内閣府「障害者白書」でも、障がいのある方のご家族が抱える悩みとして「自分たちがいなくなった後のこと」が継続的に上位に挙げられています。とくに知的障がい・強度行動障がい・重度の身体障がいなど、自立した生活が難しい状況にあるお子さまをお持ちのご家族では、この不安は世代を超えて続きます。
しかし、ご両親がお元気なうちに「住まい」「お金」「見守り」の3つの柱で備えておくことで、親なき後も安心して暮らせる環境は整えられます。この記事では、関西エリアで多くのご家族をサポートしてきたNPO法人いきいきつながる会の視点から、今からできる具体的な備えを整理してご紹介します。
「親なき後」問題とは?障がいのあるお子さまを持つ家族の不安
「親なき後問題」とは、障がいのあるお子さまを育ててきた親御さんが亡くなった後、その方の生活や安心を誰が支えていくのかという課題を指します。当事者・家族・支援者の間で広く使われている用語で、福祉現場でも長年議論されてきたテーマです。
ご両親が比較的若いうちは、住まいの提供・経済的支援・日常の見守り・意思決定の代行など、多くの役割をご家庭で担えます。しかしご両親が高齢になり、介護が必要になったり、亡くなったりした場合、これらの役割を引き継ぐ仕組みを準備しておかなければなりません。
国の施策としても「地域生活支援拠点等」の整備や「障害者支援施設から地域生活への移行」が進められており、グループホームや相談支援の体制は年々強化されています。情報を集めて選択肢を知ることが、不安を減らす第一歩です。
親なき後に直面する3つの課題|住まい・お金・見守り
親なき後の備えは、大きく3つの柱で考えると整理しやすくなります。それぞれの主な選択肢を比較表で見てみましょう。
| 課題 | 主な選択肢 | 概要 |
|---|---|---|
| 住まい | グループホーム/施設入所支援/地域生活援助/自宅での支援 | 共同生活援助、24時間支援施設、ヘルパー利用など |
| お金 | 障害基礎年金/特別障害者手当/障害者扶養共済/生命保険信託/生活保護 | 公的年金・手当・私的備えの組み合わせ |
| 見守り | 成年後見制度(法定/任意)/相談支援専門員/身元保証団体/NPO支援 | 意思決定支援と日常の見守りの両輪 |
住まいの問題|どこで暮らすか?
ご両親と同居していた場合、亡くなった後にその住居へ住み続けられるとは限りません。賃貸住宅は名義人の死亡で契約終了となる可能性があり、持ち家の場合も維持・管理が課題になります。
主な選択肢は次のとおりです。
- グループホーム(共同生活援助) — 少人数で共同生活を送る住まい。世話人やスタッフの支援を受けながら地域で暮らせる
- 障がい者向け施設入所支援 — 24時間体制の支援が必要な方向けの入所施設
- 生活介護+自宅/アパート暮らし — ヘルパー支援を受けながら自宅やアパートで暮らす形
国の方針として施設からグループホーム等の地域生活への移行が進められており、関西エリアでも大阪・神戸・京都・奈良・和歌山の各地でグループホームの整備が進んでいます。
お金の問題|生活費はどうまかなう?
障がいのある方の主な収入源には、障害基礎年金、特別障害者手当、就労継続支援A型・B型の工賃、生活保護などがあります。グループホームの月額費用は家賃・食費・光熱費を合わせて6万〜12万円程度が一般的とされ、家賃補助制度(特定障害者特別給付費=月額1万円上限)も用意されています。
2026年現在、市町村民税非課税世帯のグループホーム入居者は障害福祉サービス利用料が0円となるケースが大半ですが、自治体ごとに上乗せ補助の有無が異なります。お住まいの自治体・地域包括支援センター・相談支援事業所への確認が必要です。
ご両親の財産を活用する仕組みとしては、次のような選択肢があります。
- 障害者扶養共済(しょうがい共済) — 都道府県が実施。加入者(保護者)が亡くなった後、障がいのあるお子さまに終身年金が支給される
- 生命保険信託 — 死亡保険金を信託銀行が管理し、本人へ定期的に支給する仕組み
- 遺言書による財産承継 — 信頼できる親族や法人を指定し、本人のために財産を活用してもらう
見守りの問題|誰が支えてくれる?
日常生活の見守りや、契約・財産管理など重要な意思決定の支援は、ご両親が担っているケースが多いのが現実です。引き継ぐ仕組みとして主に活用されるのが成年後見制度です。
- 法定後見 — 判断能力が低下した後、家庭裁判所が後見人を選任する制度
- 任意後見 — 本人が判断能力のあるうちに、信頼できる人を将来の後見人として指定する契約
2026年現在、成年後見の申立費用は手数料・郵便切手・鑑定費用等を合わせて数万円〜十数万円程度、後見人への月額報酬は管理財産額により2〜6万円程度が目安とされています(最高裁判所の参考額)。
加えて、相談支援専門員、障害者地域生活支援センター、基幹相談支援センターなど、地域の支援機関とのつながりを早めに作っておくことが大切です。
今からできる備え|親が元気なうちにやっておくべき4つのこと
1. 利用できる福祉サービスを確認する
お住まいの市区町村の障害福祉課・相談支援事業所に相談し、現在利用できるサービスと、将来利用可能なサービスを把握しておきましょう。日中活動支援、就労継続支援、グループホーム、短期入所(ショートステイ)など、本人の状況に応じた選択肢があります。
2. 成年後見制度の準備を始める
任意後見契約は本人に判断能力があるうちに締結する必要があります。判断能力に不安がある場合は、法定後見の申立てを家庭裁判所へ行う方法もあります。後見人候補としてご親族・専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士)・市民後見人などから検討します。
3. 財産管理の仕組みをつくる
障害者扶養共済、生命保険信託、家族信託などを活用し、ご両親がいなくなった後も安定した収入が得られる仕組みをつくります。あわせて遺言書を作成し、財産の行き先を明確にしておくことが重要です。
4. ライフプラン(サポートブック)を作成する
お子さまの生活に関する情報をまとめた「ライフプラン」または「サポートブック」を作成しましょう。日常の過ごし方、好きなこと・苦手なこと、コミュニケーションの取り方、服薬情報、緊急時の連絡先、利用しているサービス一覧などを記載しておくと、第三者がケアを引き継ぐ際の負担が大きく減ります。
いきいきつながる会の親なき後支援
障がいのある方が施設・グループホームに入居する際や、病院に入院する際には、身元保証人が必要になるケースが少なくありません。ご両親がご存命の間はご両親が保証人を務めることが多いですが、親なき後はそれが難しくなります。
NPO法人いきいきつながる会では、関西エリアで強度行動障がい・知的障がい・身体障がいを含む、障がいのある方の身元保証にも対応しています。施設入居・入院時の身元保証人引き受け、緊急時の駆けつけ、行政手続きの同行支援、死後事務までを一つの窓口で一貫してサポートしているのが特徴です。
NPO法人として営利目的ではなく、長期的に伴走できる体制を整えていることも、当会を選んでいただく理由のひとつです。
よくある質問(FAQ)
Q. 強度行動障がいのある子でも、グループホームに入居できますか?
A. 強度行動障がいに対応したグループホームや、重度障害者等包括支援を提供する施設も増えています。お住まいの地域の相談支援専門員にご相談ください。当会でも対応可能な事業所のご紹介を行っています。
Q. 障害基礎年金だけでグループホームの費用はまかなえますか?
A. 2025年現在、障害基礎年金2級は月額約6万8,000円、1級は月額約8万5,000円程度です。家賃補助や工賃と組み合わせれば、地方や家賃の安いホームでは生活費を概ねまかなえる場合があります。都市部では家賃が高くなるため、生活保護や就労収入との併用、自治体独自の助成制度の活用が必要となるケースもあります。
Q. 親が認知症になっても、子どもの面倒を見られますか?
A. 親御さんの判断能力が低下すると、お子さまへの法的な代理行為が難しくなります。お元気なうちに、お子さまの任意後見・身元保証・財産管理の仕組みを別途整えておくことが望まれます。
Q. 兄弟姉妹に頼ることはできますか?
A. ご兄弟姉妹が対応してくださるケースもありますが、ご本人の人生・仕事・家庭への影響を考えると、一人に負担を集中させるのは避けたほうがよいでしょう。専門機関や支援団体との連携を組み合わせて、複数の支え手で支える形が望ましいとされています。
Q. 大阪・神戸・京都など、関西エリアの相談先はどこに行けばよいですか?
A. まずはお住まいの市区町村の障害福祉課、相談支援事業所、基幹相談支援センターに相談してみてください。NPO法人いきいきつながる会でも、関西全域でご相談を承っています。
Q. 費用を抑えながら備える方法はありますか?
A. 公的制度(障害基礎年金・特別障害者手当・障害者扶養共済)を最大限活用したうえで、足りない部分を生命保険・信託・身元保証サービスで補う「公助+自助」の組み合わせが基本です。専門家との無料相談で全体設計を整理することをおすすめします。
まとめ|「備える」ことで不安は減らせる
親なき後問題は、向き合うのがつらいテーマですが、早めに準備を始めるほど選択肢は広がります。次の3つの柱で整理してみましょう。
- 住まい — グループホーム・施設・自宅支援のどれが本人に合うか、地域の選択肢を調べる
- お金 — 公的年金・手当・障害者扶養共済・生命保険信託・遺言書を組み合わせる
- 見守り — 任意後見・成年後見・相談支援・身元保証の仕組みを早めに整える
NPO法人いきいきつながる会では、障がいのあるお子さまをお持ちのご家族の親なき後支援についてもご相談を承っております。身元保証・生活支援・死後事務までを一貫してサポートしておりますので、お気軽に無料相談をご利用ください。
※本記事の制度・費用は2026年5月時点の情報に基づいています。最新の制度内容については、お住まいの自治体・地域包括支援センター・相談支援事業所にもご確認ください。