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    80歳からの一人暮らし|家族がいなくても安心できる支援体制の作り方

    80歳からの一人暮らし|家族がいなくても安心できる支援体制の作り方

    2026年03月22日生活支援いきいきつながる会 編集部7分で読めます

    80歳からの一人暮らし|家族がいなくても安心できる支援体制の作り方

    80歳を超えても一人暮らしを続けている方は、日本全国で増え続けています。内閣府の調査によれば、65歳以上の一人暮らし高齢者は約700万人を超え、その数は今後も増加が見込まれています。

    「元気なうちは問題ない」と思っていても、80歳を過ぎると体力や判断力の低下が急速に進むことがあります。特に「身元保証人がいない」という問題は、入院や施設入所の場面で大きな壁となります。

    この記事では、80歳以上の一人暮らしの方が知っておくべきリスクと、家族がいなくても安心できる支援体制の作り方を解説します。


    80歳を超えて一人暮らしを続けるリスクとは

    80歳以上の一人暮らしには、若い世代の一人暮らしとは異なる特有のリスクがあります。

    まず「健康上の急変」です。自宅で転倒して骨折、脳卒中で倒れる、急な発熱で動けなくなる――こうした事態が起きたとき、一人暮らしでは発見が遅れるリスクがあります。特に80歳以上では、転倒による骨折が寝たきりにつながるケースが急増します。

    次に「認知機能の低下」です。80歳を過ぎると認知症の有病率が大幅に上昇します。85歳以上では約4人に1人が認知症を発症するというデータもあります。判断能力が低下すると、契約行為や金銭管理が困難になり、生活のあらゆる場面で支障が出ます。

    そして「社会的な孤立」も深刻です。80歳以上になると、友人や知人も同年代が多く、体調不良や死亡により交友関係が減っていきます。外出の機会が減り、体力の低下と孤立が悪循環を起こすことがあります。


    利用できる公的支援制度

    一人暮らしの高齢者が利用できる公的支援制度は、実は多く存在します。

    「介護保険制度」は最も基本的な支援です。65歳以上であれば要介護認定を申請でき、認定を受ければデイサービス、ホームヘルパー、福祉用具のレンタルなどのサービスを1割からの自己負担で利用できます。申請はお住まいの市区町村の介護保険課または地域包括支援センターで行えます。

    「地域包括支援センター」は高齢者の総合相談窓口です。介護、健康、生活支援、権利擁護など幅広い相談を無料で受け付けています。「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、まずここに連絡するのが最善です。

    「高齢者見守りサービス」も多くの自治体が導入しています。定期的な電話確認や訪問、緊急通報装置の設置など、形式は自治体によって異なりますが、一人暮らしの高齢者を対象に無料または低額で提供されています。

    「成年後見制度」は、判断能力が低下した場合に備える制度です。元気なうちに「任意後見制度」を利用して後見人を決めておけば、認知症が進行しても財産管理や契約行為を代理してもらえます。


    「身元保証人がいない」場合の入院・施設入所問題

    80歳以上の一人暮らしの方が最も直面しやすいのが、入院や施設入所時の「身元保証人」問題です。

    多くの病院や介護施設では、入院・入所時に身元保証人の署名を求められます。身元保証人の役割は、治療方針の同意、緊急時の連絡先、退院時のお迎え、亡くなった場合の貹物引き取りなど多岐にわたります。

    「身寄りがない」あるいは「子供が海外にいてすぐに駆けつけられない」という状況では、入院を断られるケースもあります。この問題を解決する手段の一つが、身元保証サービスの利用です。NPO法人や民間の保証会社が身元保証人を引き受け、病院や施設との連絡窓口となってくれます。


    家族に代わる支援体制の作り方

    80歳からの一人暮らしを安心して続けるためには、「家族の代わり」となる支援体制を事前に整えておくことが重要です。具体的には、次の3つの柱で考えます。

    1つ目の柱は「成年後見制度の活用」です。元気なうちに任意後見契約を結んでおくことで、将来判断能力が低下した際にも、信頼できる後見人に財産管理や契約行為を代理してもらえます。公正役場で任意後見契約を作成し、法務局に登記する手続きが必要です。

    2つ目の柱は「身元保証サービスの契約」です。入院・施設入所・賃貸契約などの場面で必要となる身元保証人を、NPO法人や保証会社に委託します。緊急時の駆けつけ対応や、死後の事務手続き(葬儀手配、遺品整理など)も含めて契約できるサービスを選ぶと安心です。

    3つ目の柱は「見守り体制の確保」です。自治体の見守りサービスに加え、民間の見守りサービスや、地域のボランティアによる定期訪問など、複数の見守りの「目」を持つことが理想です。緊急通報装置(ペンダント型など)の導入も検討に値します。


    実際のケース:一人暮らしのAさん(83歳)の場合

    大阪府在住のAさん(83歳・女性)は、夫を亡くした後、10年以上一人暮らしを続けていました。子供は東京に住んでおり、日常的なサポートは期待できない状況でした。

    ある日、自宅で転倒して救急搬送された際、病院から「身元保証人の署名が必要」と言われました。東京の息子さんに連絡がつきましたが、すぐに駆けつけることはできず、手続きに数日を要しました。

    退院後、Aさんは地域包括支援センターの紹介でNPO法人いきいきつながる会と契約。身元保証・緊急時駆けつけ・定期見守りの体制が整い、「もう一人でも安心です」と話しています。


    まとめ

    80歳を過ぎてからの一人暮らしは、健康上のリスク、身元保証人の不在、社会的孤立といった課題が重なります。しかし、公的支援制度と民間サービスを組み合わせることで、家族が近くにいなくても安心できる体制を作ることは可能です。

    大切なのは「元気なうちに準備すること」です。任意後見契約も身元保証サービスも、判断能力があるうちにしか契約できません。「まだ大丈夫」と思える今のうちに、一度地域包括支援センターに相談してみてはいかがでしょうか。