
賃貸契約で保証人がいない高齢者へ|入居審査と家賃債務保証の使い方【2026年版】
賃貸契約で保証人がいない高齢者へ|入居審査と家賃債務保証の使い方【2026年版】
「更新のたびに保証人を書かされるが、頼める人がもういない」「不動産会社に年齢を伝えたとたん、内見を断られた」——大阪をはじめ関西エリアで、賃貸住宅の契約についてこうしたご相談をいただきます。
住まいの契約は、入院や施設入居と違って期限が待ってくれません。立ち退きを求められている、更新日が迫っている、といった状況で保証人が見つからないと、生活の土台そのものが揺らぎます。
一方で、2026年現在、この分野の制度は大きく動いています。2025年10月に改正住宅セーフティネット法が施行され、保証人を立てられない方が住まいを確保するための仕組みが整えられました。この記事では、大家さんが高齢者の入居をためらう理由、家賃債務保証会社の使い方、そして新しい公的な仕組みまでを順にご説明します。
なお、入院のときの身元保証人については「入院で身元保証人がいないと言われたら」、施設入居については「老人ホームの入居で身元引受人を求められたら」で扱っています。場面によって求められるものが違うため、あわせてご覧ください。
賃貸の「保証人」は入院・施設とどう違うのか
同じ「保証人」でも、賃貸契約で求められるものは中身がかなり異なります。
| 場面 | 主に求められる役割 | 代替手段 |
|---|---|---|
| 賃貸契約 | 家賃の連帯保証、緊急連絡先、退去時の残置物処理 | 家賃債務保証会社が広く普及 |
| 入院 | 医療費の支払い、緊急時の連絡、退院支援 | 保証会社は限られ、NPO等の身元保証サービスが中心 |
| 施設入居 | 費用の連帯保証、身元引受、退居時の対応 | 施設ごとに扱いが異なる |
賃貸で特徴的なのは、家賃債務保証会社という民間の仕組みがすでに市場として成立している点です。実際、近年は保証人を立てるかわりに保証会社の利用を必須とする物件が増えています。つまり、「保証人がいないから借りられない」という状況は、賃貸に関しては手を打ちやすい分野です。
大家さんが高齢者の入居をためらう3つの理由
とはいえ、高齢の単身の方が断られやすいのも事実です。理由を知っておくと、対策が立てやすくなります。
- 家賃の滞納:年金収入だけで支払い続けられるかを心配されます
- 室内で亡くなられた場合の対応:発見が遅れると原状回復の負担が大きくなります
- 残置物(家財)の処理:契約者が亡くなった後、誰が荷物を片づけるのかが決まっていないと、大家さんは手を出せません
注目していただきたいのは、3つのうち2つは「亡くなった後」の心配だということです。裏を返せば、見守りの仕組みと死後の手続きを先に決めておけば、大家さんの不安の大部分は解消できます。ここが交渉の勘どころです。
2025年10月施行の改正住宅セーフティネット法
2026年現在、住まいの確保が難しい方を支える制度が大きく変わりました。2024年5月に成立した改正住宅セーフティネット法が、2025年10月から施行されています。
改正の3本柱
- 大家さんが貸しやすく、入居希望者が入りやすい市場環境の整備
- 居住支援法人などが入居中のサポートを行う住宅の供給促進
- 住宅施策と福祉施策を連携させ、地域の居住支援体制を強化する
押さえておきたい4つの仕組み
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 居住サポート住宅 | 安否確認や福祉サービスへのつなぎがセットになった賃貸住宅を、自治体が認定する仕組み |
| 家賃債務保証業者の認定制度 | 保証会社のうち一定の基準を満たすものを国が認定し、高齢者等を断らない運用を促す |
| 終身建物賃貸借の普及促進 | 入居者が亡くなるまで契約が続き、相続人に引き継がれない形の契約を使いやすくする |
| 残置物処理の推進 | 居住支援法人が家財の処理を引き受けられるようにし、大家さんの不安を減らす |
「安否確認と死後の手続きがついた住まい」を制度として用意しようというのが、この改正の考え方です。前の章で挙げた大家さんの不安に、正面から答える設計になっています。
制度の運用状況や対象となる住宅は市区町村によって異なり、今後も変更される可能性があります。最新の情報はお住まいの自治体の住宅担当課や、地域の居住支援協議会にご確認ください。
家賃債務保証会社の使い方
現実的にいちばん早い解決策は、家賃債務保証会社の利用です。
費用の目安
初回保証料は家賃の3割〜1か月分程度、その後は年1万円前後、または家賃の1〜2%程度の更新料がかかるのが一般的です。金額は保証会社と物件によって幅があります。
高齢の方が確認しておきたい4点
- 年齢の上限があるか:会社によっては審査基準に年齢が含まれます
- 緊急連絡先を求められるか:保証会社を使っても、親族以外で構わないので連絡先を1つ求められることがほとんどです
- 審査で見られるもの:年金額や預貯金の状況を確認されます。年金証書や通帳の写しを準備しておくと話が早く進みます
- 孤独死保険の付帯:原状回復費用をカバーする保険が付いていると、大家さんが受け入れやすくなります
3つ目の「緊急連絡先」でつまずく方が少なくありません。保証会社は家賃を保証してくれますが、駆けつけたり、入院の手続きをしたりはしてくれません。そこを埋める先を別に用意しておく必要があります。
保証人が見つからないときの5つの選択肢
順番に検討していくと、道筋が見えてきます。
- 家賃債務保証会社を使う:もっとも一般的。物件によっては最初から必須
- 公営住宅を検討する:自治体によっては保証人の要件を緩和・撤廃している例があります。単身高齢者向けの募集枠がある場合もあります
- 居住サポート住宅・セーフティネット住宅を探す:改正法で整備が進んでいます。自治体の住宅担当課で情報を得られます
- 居住支援法人に相談する:物件探しから入居後の見守りまで支援する法人が各地にあります
- NPO等の身元保証サービスを併用する:緊急連絡先、入院時の対応、死後事務までを引き受けてもらう
多くの場合、1と5の組み合わせが現実的です。家賃の保証は保証会社に、人としての対応はNPO等に、と役割を分けると、大家さんの不安に一通り答えられます。サービスの選び方は「身元保証人代行サービスとは?仕組み・費用・選び方のポイント」にまとめています。
内見・審査に進む前の準備
不動産会社に行く前に、次を整えておくと交渉が進みやすくなります。
- 収入を示す資料:年金証書、通帳の写し、確定申告書など
- 緊急連絡先:親族以外でも構いません。1つ確保しておく
- 見守りの手段:定期訪問や緊急通報装置を利用している/これから利用する予定を伝えられるようにする
- 死後の段取り:残置物の処理を誰が担うかを説明できるようにする
「見守りを入れています」「亡くなった後の手続きも契約で決めています」と伝えられるかどうかで、大家さんの反応は変わります。見守りサービスの費用の目安は「高齢者見守りサービスの料金はいくら?」でご確認いただけます。
いきいきつながる会のサポート
「保証人になってくれる人がいないまま、更新日が近づいている」——そうしたご相談に、NPO法人いきいきつながる会は大阪を拠点に関西エリアでお応えしてきました。
- 賃貸契約時の緊急連絡先の引き受けと、必要に応じた保証
- 入居後の定期訪問による見守り
- 入院・施設入居が必要になったときの身元保証
- 亡くなった後の死後事務、高野山奥の院での永代供養まで
住まいの契約から将来の手続きまでをワンストップでお引き受けできるため、大家さんに「この先どうなるのか」をまとめてご説明できます。これが結果として、入居審査を通りやすくすることにつながります。NPO法人として、営利目的ではなく地域の高齢者支援を続けてきました。
よくある質問(FAQ)
Q. 年齢だけを理由に入居を断られました。法律上、問題はないのですか?
A. 賃貸借契約は当事者の合意によるため、貸主が入居者を選ぶこと自体は制限されていません。ただし国は、高齢を理由に住まいを確保できない状況を課題として住宅セーフティネット制度を整備しています。自治体の住宅担当課や居住支援法人にご相談いただくと、受け入れ実績のある物件を紹介してもらえる場合があります。
Q. 家賃債務保証会社を使えば、保証人はまったく不要になりますか?
A. 多くの場合は不要になりますが、緊急連絡先は別途求められることがほとんどです。また保証会社が保証するのは家賃であり、緊急時の駆けつけや入院手続きは対象外です。その部分を別に手当てしておく必要があります。
Q. 今住んでいる家の更新で、保証人が亡くなってしまいました。
A. 更新のタイミングで保証会社への切り替えを提案できる場合があります。管理会社に早めにご相談ください。更新日の直前になるほど選択肢が狭まりますので、2〜3か月前の相談をおすすめします。
Q. 生活保護を受けていますが、契約できますか?
A. 住宅扶助の範囲内であれば契約は可能です。家賃を代理納付する仕組みを使える自治体もあり、大家さんの安心材料になります。担当のケースワーカーにご確認ください。
Q. 施設に入るまでのつなぎとして借りたいのですが。
A. 短期の利用を前提とする場合は、その旨を最初に伝えたほうが後の行き違いを防げます。サービス付き高齢者向け住宅など、高齢者を前提とした住まいも選択肢に入ります。
まとめ|賃貸は「手を打てる」分野です
賃貸契約の保証人問題は、次の順序で考えると整理できます。
- 家賃の保証は保証会社に任せる:初回は家賃の3割〜1か月分、以後は年1万円前後が目安
- 緊急連絡先と見守りを別に用意する:保証会社が担わない部分を埋める
- 公的な仕組みを確認する:2025年10月施行の改正法で、居住サポート住宅や認定保証業者の制度が整いました
- 死後の段取りまで示す:残置物の処理を説明できると、大家さんの不安が大きく減ります
制度の内容や運用は市区町村によって異なり、変更される可能性もあります。最新の情報はお住まいの自治体・居住支援協議会にご確認ください。
「住まいの契約で困っている」という方は、お気軽に無料相談をご利用ください。いきいきつながる会では、賃貸契約時のサポートから見守り、身元保証、終活、死後事務まで一貫してお引き受けし、関西エリアで多くの方に伴走してまいりました。