
親なき後の障がい者支援|強度行動障がいの子を持つ親が今からできる備え
親なき後の障がい者支援|強度行動障がいの子を持つ親が今からできる備え
「自分が亡くなった後、強度行動障がいのある子は誰が支えてくれるのか」――そんな不安を抱えるご家族からのご相談が、関西エリアでも年々増えています。激しい自傷や他害を伴う強度行動障がいは、受け入れ可能な施設が限られ、ご家族だけで24時間365日の支援を続けるケースも少なくありません。
厚生労働省は2025年5月、「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」を立ち上げ、同年秋にとりまとめが公表されました。重度障がいのあるお子さんの「親なき後」は、ご家族個別の問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題として位置づけられつつあります。
この記事では、大阪・神戸・京都・奈良・和歌山にお住まいで、強度行動障がいのお子さんを持つご家族が、親が元気なうちにできる3つの備えと、関西で活用できる受け入れ先の比較を解説します。
強度行動障がいと「親なき後問題」とは
強度行動障がいとは、自傷・他害・物損・こだわり・パニックなど、本人や周囲の生活に著しい影響を及ぼす行動が高頻度で現れる状態を指します。重度の知的障がいや自閉スペクトラム症(ASD)を伴うケースが多く、専門的な支援体制がないと地域で安定した暮らしを続けることが難しい場合があります。
「親なき後問題」とは、障がいのあるお子さんの主要な支援者であるご両親が高齢化・他界した後、本人の生活基盤・財産管理・医療や福祉サービスとのつながりが途絶えてしまう懸念を指す言葉です。特に強度行動障がいの場合、受け入れ可能なグループホーム(共同生活援助)や入所施設が限られているため、ご家族の高齢化を見越して早期に対策を始めることが大切です。
2025年現在、障害者総合支援法のもとで「日中サービス支援型グループホーム」など重度の方を受け入れる新しいタイプの施設が整備されつつあり、2024年度報酬改定では強度行動障害支援者養成研修を修了した職員を配置することで重度障害者支援加算(1日360〜510単位)が算定できるようになっています。
強度行動障がいの受け入れ先4タイプを比較
お子さんの状態と地域の資源によって、選べる受け入れ先は異なります。関西エリアで利用検討できる主な4タイプを比較しました。
| 受け入れ先 | 特徴 | 適した状態 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 日中サービス支援型グループホーム | 24時間支援員配置。重度の方を主対象 | 自傷・他害が強い、医療的ケアあり | 全国的に施設数が少ない |
| 介護サービス包括型グループホーム | 食事・入浴等を支援員が提供。日中は通所先へ | 中軽度〜重度。日中活動が安定 | 強度行動障がいの受け入れ可否は事業所次第 |
| 障害者支援施設(入所) | 24時間体制で施設内生活 | 行動障がいが激しく地域生活が困難 | 入所枠が限られ待機が長い |
| 重度訪問介護 | 自宅または独居先へヘルパーが長時間訪問 | 在宅生活継続を希望、本人が独居可 | 2014年法改正で強度行動障がいも対象に |
特に注目したいのは、日中サービス支援型グループホームと重度訪問介護の併用という選択肢です。グループホームでの生活を基盤としつつ、日中の長時間見守りを重度訪問介護で補強することで、強度行動障がいのある方も地域で安定して暮らせる事例が報告されています。
事業所選びでは、強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修)の修了者がどれだけ配置されているか、行動援護サービスとの連携があるかを確認することが、支援の質を見極める指標になります。
親が今からできる3つの備え
「親なき後」に向けた備えは、ご家族の状況によって優先順位が変わります。ただ、どのご家庭にも共通する3つの土台があります。
1. 生活基盤の確保(住まい・日中活動)
まずはお子さんの生活の場を整えることから始めます。地域の相談支援専門員と連携して、複数のグループホームを見学し、本人の特性に合う事業所を時間をかけて選びます。受け入れ可否の判断には体験入所が用意されることもあるため、希望する事業所が見つかったら早めに相談を始めるとよいでしょう。
近隣に適した施設がない場合、他の市町村や府県まで含めて探すのが現実的です。関西広域で見れば、大阪府堺市・松原市・和泉市・岸和田市、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県のそれぞれで強度行動障がいに対応する事業所が増えてきています。
2. 財産管理の仕組み(成年後見・信託)
お子さんに知的障がいがあり財産の自己管理が難しい場合、ご両親の他界後は成年後見制度や家族信託の活用が重要です。
任意後見契約を元気なうちに結んでおけば、ご両親が判断能力を失った後の代わりにお子さんを支える「将来の後見人」を、ご家族が信頼できる弁護士・司法書士・NPO法人などから選んでおけます。一方、家族信託はご両親の財産をきょうだいや専門家に託し、お子さんの生活費として継続的に支給する仕組みを作れます。
2025年現在、後見人の月額報酬は管理財産額に応じて2〜6万円が目安とされており、長期にわたる支援を見越した資金計画も合わせて検討する必要があります。
3. 支援者ネットワーク(相談支援・きょうだい児・地域団体)
お子さんを支える人を「ご両親一人」から「複数の支援者」に分散させていくことが、親なき後の最大の備えです。市町村の基幹相談支援センター、計画相談支援事業所、地域の障がい者家族会、当事者団体などとつながり、ご両親が動けなくなったときに引き継いでもらえる関係性を築きます。
きょうだい児(障がいのある子のご兄弟姉妹)の心理的負担にも配慮が必要です。「自分がいずれ全てを背負わなければならない」と思い込ませない仕組み作りとして、第三者(NPOや専門職)が後見・財産管理を担う形を早期に伝えておくことが、きょうだい児の人生の選択肢を守ることにつながります。
いきいきつながる会の障がい者家族支援
NPO法人いきいきつながる会と連携している「いきいきホーム」では、全国各地域の強度行動障がいを含む重度の障がいがあるお子さんを持つご家族の「親なき後」相談を多数お受けしてきました。
当会の特徴は、ご両親ご自身の身元保証・終活・死後事務支援と、お子さんの将来の財産管理・支援者ネットワークづくりを、一つの窓口で並行して進められることです。ご両親が高齢化していくと、ご自身の入院・施設入所も視野に入れた備えが必要になりますが、お子さんのことだけを考えていると、ご両親自身の備えが後回しになりがちです。
NPO法人として、地域の障がい者家族支援を続けてきた経験から、相談支援専門員・グループホーム・後見人・関係機関との連携体制も整えています。本人・ご家族双方の負担を大きく軽減できる伴走型のサポートが、当会の強みです。
よくある質問(FAQ)
Q. 強度行動障がいでも受け入れてくれるグループホームが見つかりません
地元だけで探さず、関西広域や、必要なら他府県まで対象を広げて探すのが現実的です。市町村の基幹相談支援センターや地域の相談支援専門員に相談し、空き状況を継続的に把握してもらうとよいでしょう。当会でも、いきいきホームでの受け入れを行っています。
Q. 親が亡くなった後、子の財産はどう守られますか
成年後見制度(法定後見・任意後見)や家族信託を組み合わせて備えるのが一般的です。任意後見契約は元気なうちに結べるため、ご両親の存命中から準備を始めることができます。
Q. きょうだい児に負担をかけないためには
きょうだい児に「あなたが将来面倒を見るんだよ」と暗黙のうちに期待しないことが第一歩です。財産管理は第三者後見人やNPOに、生活支援は障害福祉サービス事業所に分散させる仕組みを作り、きょうだい児には「ときどき会いに行く家族」としての関わり方を選んでもらうのが、長期的に良い関係性を保つコツです。
Q. 親自身の体調が崩れたとき、子はどうなりますか
ご両親が入院・要介護になった時点で支援が途切れないよう、平時からショートステイの利用実績を作っておく、計画相談支援を継続契約しておく、などの備えが有効です。当会では、ご両親の急な入院時の対応も含めた包括的な相談を承っています。
まとめ|「親なき後」は3層で備える
強度行動障がいのお子さんを持つご家族の「親なき後」対策は、次の3層で考えると整理しやすくなります。
- 生活基盤層:受け入れ可能なグループホーム・入所施設・在宅支援の確保
- 財産管理層:任意後見・家族信託による継続的な資金支援の仕組み
- ネットワーク層:相談支援専門員・地域団体・NPOとの伴走関係
これらは一朝一夕には整いません。ご両親が元気なうちに、少しずつ複数の選択肢を持ち寄っておくことが、お子さんの将来の安心につながります。
「何から手をつけてよいかわからない」「強度行動障がいに対応できる相談先を探している」という方は、お気軽に無料相談をご利用ください。いきいきつながる会では、関西エリアでご家族と長期的に伴走するサポートを続けてまいりました。