ホーム/ブログ/身元保証/親の認知症に備える家族の実践ガイド|任意後見・財産管理・身元保証の準備手順
    親の認知症に備える家族の実践ガイド|任意後見・財産管理・身元保証の準備手順

    親の認知症に備える家族の実践ガイド|任意後見・財産管理・身元保証の準備手順

    2026年03月24日身元保証いきいきつながる会 編集部6分で読めます

    親の認知症に備える家族の実践ガイド|任意後見・財産管理・身元保証の準備手順

    「親が認知症になったらどうしよう」と漠然とした不安を抱えている方は多いでしょう。しかし、認知症は「なってから」では遂い、「なる前」の備えが決定的に重要です。

    認知症が進行すると、本人が契約行為を行うことができなくなります。銀行口座が凍結され、不動産の売却ができず、介護施設の契約も結べない――こうした事態は、判断能力があるうちに備えておけば回避できます。

    この記事では、親の認知症に備えて家族が「今」やるべき具体的な準備手順を解説します。


    なぜ「なる前」の備えが重要なのか

    認知症は徐々に進行する病気です。「ちょっと物忘れが増えたかな」という段階から、日常生活に支障が出るまでには数年かかることもあります。この「グレーゾーン」の間に準備を整えることが、家族にとって最大のチャンスです。

    判断能力が低下してからでは、以下のことができなくなります。任意後見契約の締結(判断能力があるうちにしかできない)、銀行口座の解約や名義変更、不動産の売却や賃貸契約、保険の解約や変更手続き、介護施設の入所契約。これらすべてが「判断能力があるうち」でなければ対応できない行為です。


    準備①:任意後見制度の活用

    「任意後見制度」とは、将来判断能力が低下したときに備えて、元気なうちに自分で後見人を選び、契約を結んでおく制度です。法定後見制度(認知症発症後に家庭裁判所が後見人を選任)とは異なり、本人の意思で信頼できる人を指定できる点が大きなメリットです。

    手続きの流れは以下の通りです。まず、後見人候補者を決めます。家族、弁護士、司法書士、社会福祉士、NPO法人などが候補になります。次に、公証役場で任意後見契約書を作成します。公正証書として作成するため、法的な有効性が確保されます。費用は約1万円から2万円程度です。そして、法務局に登記されます。登記は公証役場が嘘託しますので、本人が行う手続きはありません。

    将来、認知症が進行した際に、家庭裁判所に申立てて任意後見監督人が選任されると、後見人が正式に活動を開始します。


    準備②:財産の事前整理

    認知症に備えて、親の財産状況を家族が把握しておくことは極めて重要です。

    「銀行口座の整理」が最初のステップです。複数の銀行口座を持っている場合、できるだけ1〘2つに集約しましょう。口座番号、印鑑、キャッシュカードの保管場所も家族で共有しておきます。認知症が進行して銀行が「判断能力なし」と判断すると、口座が凍結されることがあります。

    「不動産情報の確認」も欠かせません。自宅や所有不動産の登記簿謄本を取得し、正確な所有者や抵当権の状況を確認しておきます。認知症発症後に不動産を売却するには、成年後見人の選任と家庭裁判所の許可が必要になり、数ヶ月を要することがあります。

    「保険・年金の確認」も行いましょう。生命保険、医療保険、個人年金などの契約内容を一覧化し、保険証券の保管場所も確認しておきます。


    準備③:身元保証の手配

    親が将来入院や施設入所する可能性があるなら、身元保証人の確保も事前に検討しておきましょう。

    子供が近くに住んでいれば、子供が身元保証人になるのが一般的です。しかし、子供が遠方に住んでいる場合、海外にいる場合、あるいは子供がいない場合は、NPO法人や保証会社に委託することができます。

    身元保証サービスを契約しておけば、緊急入院の際にもスムーズに対応できます。「緊急時に誰も対応できない」という事態を防ぐためにも、元気なうちに契約を済ませておくことをおすすめします。


    準備④:家族会議の進め方

    認知症の備えは、親本人だけでなく家族全員で共有することが大切です。「家族会議」を開くことをおすすめします。

    議題として決めておきたいことは以下の点です。「介護の方針」として、在宅介護を続けるのか、施設入所を検討するのか。「役割分担」として、誰が主たる介護者になるのか、費用はどう分担するのか。「財産管理」として、誰が財産管理を担うのか、任意後見契約を結ぶのか。「延命治療の希望」として、親本人の意思を確認し、書面に残しておく。

    家族会議で決めたことは、必ず書面に残しておきましょう。口頭の合意だけでは、後から「そんな話はしていない」というトラブルの原因になります。


    備えのチェックリスト

    最後に、親の認知症に備えるためのチェックリストをまとめます。

    「任意後見契約を検討したか」「親の銀行口座・印鑑・カードの所在を把握しているか」「不動産の登記情報を確認したか」「保険・年金の契約一覧を作成したか」「身元保証人の確保を検討したか」「延命治療について親本人の意思を確認したか」「家族会議で役割分担を決めたか」「上記の内容を書面にまとめて保管しているか」

    このチェックリストを完了できていなくても、今日から一つずつ始めれば大丈夫です。まずは地域包抬支援センターに相談することで、専門家のアドバイスを受けながら進めることができます。


    まとめ

    親の認知症に備えるために家族ができることは、任意後見契約の検討、財産の事前整理、身元保証の手配、家族会議の4つです。すべてに共通しているのは「判断能力があるうちにしかできない」ということです。

    「まだ元気だから大丈夫」ではなく、「元気な今だからこそできる」と考えて、一歩を踏み出してみてください。地域包括支援センターや、NPO法人いきいきつながる会のような専門団体に相談することで、具体的な準備を始めることができます。